睡眠改善
最近の研究によると、ケトン体は時計遺伝子を抑制し、サーカディアンリズムを調整することが分かっています。
サーカディアンリズムとは、私たちの体内時計が約24時間の周期で作動する生理的なリズムのことを指します。このリズムは、睡眠や覚醒、食欲、体温などの生理機能に影響を与えます。
ケトン体は、脳内の神経細胞のエネルギー供給源として働き、脳の機能を正常に保つことができます。これにより、サーカディアンリズムの乱れや睡眠障害の改善につながるのです。
また、ケトン体はグルタミン酸の放出を阻害し、GABA(γ―アミノ酪酸)の放出を促進するなど、神経伝達物資のバランスを調整する働きもあります。GABAは脳内での興奮を抑制する役割を果たしており、リラックスや睡眠の調整に重要です。したがって、ケトン体の摂取によりGABAの放出が増えることで、より深い睡眠を促進する効果が期待されています。
D-BHBによる睡眠改善効果に関するヒト試験(日本農芸化学会2020年度大会)では、1日3gの摂取を4週間続けた結果、摂取前と比べ、入眠と睡眠維持、疲労回復の各スコアが有意に高い値を示しました。
さらに睡眠障害治療法開発の一環として行われた大石勝隆(人間科学博士)らのマウスの実験により、ケトン体ダイエットが時計遺伝子の働きに作用し体内時計を早めることが発見されました。まだ、メカニズム解明には至っていませんが、このようにケトン体は、サーカディアンリズムに影響を与え、より深い睡眠を促進する効果が期待されています。